カエルの歌 ー rain call

森のある暮らしのすすめ 2013.04. 8

早いものでもう6月。梅雨の季節がやってきました。
ジメジメ、シトシトで、洗濯物は乾かないし、カビは生えるし、
人間的にはあまり好まれない季節ですが、生きものたちにとっては正反対。
今回は、その中でも特に湿気が好きな「カエル」についてのお話しです。

カエル、といっても、種類はさまざま。
水中と水辺、湿った草むら、森の木の上など、棲む場所もさまざまです。
水中や水辺で産んだ卵はやがて孵り、オタマジャクシ(幼生)になります。
やがて手足が生えて陸上に出ていけるようになりますが、
これはエラ呼吸しかできなかった生物が、肺呼吸できるようになった証でもあります。
「変態」というダイナミックな成長は、カエル含む両生類の大きな特徴です。
水中でしか生きられなかった生きものが、早くて2~3か月後には陸上に上がれるようになる。
そう考えると、カエルは生まれてからものすごい早さで進化しているんですね。
そうは言っても、乾燥には弱い生きものなので、やはり水気のある場所の近くで暮らしています。

特にニホンアマガエルは、雨が降る前に鳴くから「アマガエル」と名付けられたほど、
雨と関わりの深い生きものです。
アマガエルは雨が降りそうになると、葉っぱや植物の上の方に上って鳴きはじめます。
また雨が降っている時にも鳴くので、「rain call(雨鳴き)」と呼ばれています。
アマガエルが鳴きはじめると必ず雨が降る、というわけではないようですが、
そもそもアマガエルが生きられる環境がないと、そんな言葉も消えてしまいますよね。

雨を待つアマガエル










雨を待つアマガエル
カエルの大合唱といえば、このカエル


ちなみに、両生類の「両生」という言葉は、もともと「両棲」という漢字を用いていて、
水と陸、両方の環境がないと生きられないという意味を持っています。
どちらかの環境が欠けてしまっても、カエルは生きていくことができないので、
東京を代表とする都市部では、カエルの数がどんどん少なくなって、
夏の風物詩であった「カエルの大合唱」を聞く機会も失われつつあります。

幸い「東京森都心 多摩ニュータウン東山」のすぐそばにある
2つの公園(堀之内寺沢里山公園と(仮称)南近隣公園)には、
田んぼと森がつながった「里山」という環境が残されているため、
色んなカエルの存在が確認されています。

木の上に棲むシュレーゲルアオガエル





木の上に棲むシュレーゲルアオガエル
キリリリ、という澄んだ鳴き声が特徴


夏から秋にかけての繁殖期には、カエルの合唱はさらに大きくなっていきます。
これは「公告音(advertisement call)」といって、繁殖期に自分の存在をアピールし、
雌を引き付けるために、雄が発する鳴き声で、種類ごとに異なるものです。
種類ごとに異なるという鳴き声を覚えておくと、
「これはシュレーゲルだけだな。」とか「これはアマガエルとアカガエルの合唱だな」とか、
東山ならではの雨の日の楽しみが、また一つ増えるのではないでしょうか。

東京森都心 多摩ニュータウン東山「森のなかまたち~カエル編」

ニホンアマガエル(「カエルの合唱」といえばこのカエル)
http://hitohaku.jp/education/frog/zukan/nihonama.html

シュレーゲルアオガエル(澄んだ声で鳴く森のカエル)
http://hitohaku.jp/education/frog/zukan/shuregeru.html

ヤマアカガエル(減少が危ぶまれるカエル)
http://hitohaku.jp/education/frog/zukan/yamaaka.html

アズマヒキガエル(森の落葉の下に潜む大型のカエル)
http://hitohaku.jp/education/frog/zukan/azumahiki.html

(上記のリンクは全て)兵庫県立 人と自然の博物館 「カエルのなきごえきいてみよう!」
http://hitohaku.jp/education/frog/top.html

photo by photolibrary


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