東山の森の鳥たち ~ 夏編 ~

森のある暮らしのすすめ 2013.04. 8

「夏鳥」という言葉をご存知でしょうか?
鳥の中には、一年中同じ地域に留まって生活する「留鳥(りゅうちょう)」、季節限定で海を渡って移動してくる「夏鳥(なつどり)・冬鳥(ふゆどり)・旅鳥(たびどり)」、一年中国内にいるけれど、繁殖期とそうでない時期で平地と山地に棲み分ける「漂鳥(ひょうちょう)」など、いくつかの種類があります。
「夏鳥」とは、春に南の越冬地から日本にやってきて繁殖し、秋に南の越冬地へ再び渡り去っていく鳥のことで、「ツバメ」等がその代表的な鳥です。
東山の森はこの夏鳥として、とても珍しい鳥がやってきます。

 

 

b_sankoucho.jpg■サンコウチョウ

青い目に、長い長い尾が特徴の美しい鳥・サンコウチョウ(※写真はオス。メスは尾が短く、上面と尾が赤褐色)は、子育てのために、夏鳥として渡来し、平地から低い山の薄暗い森の中で繁殖します。林の中を軽快に飛びまわり昆虫を捕えます。
緑の少なくなった東京では、普段の生活の中でなかなかお目にかかることも、声を聞くこともない貴重な鳥です。
「ツキヒーホシ、ホイホイホイ」というさえずりは、「月・日・星」と聞きなされるため、「三光鳥」と呼ばれています。


 

b_hototogisu.jpg■ホトドギス

ホトトギスも東山の森にやってくる、東京では珍しい夏鳥で、ウグイスに托卵することでよく知られています。(なのでウグイスの生息している場所でよく見られます)
「キョッキョ キョキョキョキョキョ」と鋭く鳴く声は、時に「東京特許許可局」と聞きなされます。
昼だけでなく夜も鳴いています。

 

東山の森や堀之内寺沢里山公園の中には、夏鳥だけでなく、もっとたくさんの鳥が暮らしています。
その中で特に鳴き方(?)が面白い鳥たちをご紹介します。

 


b_gabichou.jpg■ガビチョウ

ものすごく大きな声で、さらに道から見えるような森の縁で鳴いている鳥がいたら、この鳥かもしれません。「ピーヨ ピーヨ キョコ キョコ キュ キュ」など多彩なバリエーションで鳴き続けます。
色は全体的に褐色で、目の周りは白い線で縁どられ、それが目じりまで長くのびています。「画眉鳥」という名前の由来でもあります。(特定外来種の1種でもあり、もともとは日本にいなかった鳥です。1980年代から野生化し、東京近郊、山梨、福岡、大分などで繁殖が確認されています。)

 

 

b_kogera.jpg■コゲラ

スズメくらいの小さなキツツキです。木の幹を垂直にチョコチョコを歩いていく(昆虫を探して歩いています)さまは本当にかわいらしく、繁殖期には木の幹をくちばしで鳴らす「ドラミング」を行います。ふだんは「ギィー ギィー」ときしるような声で鳴いたり、「ギィッ ギィッ ギッギッギッ」などと続けて鳴くこともあります。枯れた木に穴をあけて巣を作るので、東山の森の中でも見つかるかもしれません。

 

さらに東山の森では、こんな小さくて可愛らしい鳥たちにも出会えます。

 

 

b_enaga.jpg■エナガ

スズメより小さい体の留鳥。同じカラ類と群れを作って、林の中を活発に動きまわっています。

 

 

b_yamagara.jpg■ヤマガラ

頭からほおの後ろにかけて黒く、背の上と下面が赤褐色の鳥です。
シジュウカラと同じくらいの大きさで、ツーツーピーンとゆったりした声で鳴きます。

 

 

b_shijyukara.jpg■シジュウカラ

 人をあまり恐れないので、人家の庭先にも巣をつくります。
胸に黒いネクタイを締めているような柄があります。太いネクタイをしているのがオス、細い方がメスです。

 

森や林の中から鳥の鳴き声が聴こえてきても、木々が生い茂った春から夏の森の中では、このような小さな鳥はもちろん、もっと大きな野鳥の姿を確認するのはなかなか難しいものです。
そんな初心者のために開発された2つの「お助けアプリ」を紹介します。

 

■さえずりナビ
http://www.saezurinavi.com/
場所、季節、声のタイプなどから、自分が目や耳にした鳥の名前を検索できる無料アプリ。
例えば「サンコウチョウ」と入れて検索すると、写真と「鳴き声一覧」では「さえずり」と「地鳴き」の2つのパターンの鳴き声を確認することができます。
※地図で現地点をダブルクリックすると検索画面に切り変わります。

環境省生物多様性センターが製作協力し、検索用データーベースの一部には、第6回自然環境保全基礎調査鳥類繁殖分布調査の結果を利用しているので、例示される種数が豊富な役立ちアプリです。
(現在地を示す必要があるので、ネットにつながっていないと使えないのが難点。)

 

■ききみみずきん
iPhone(またはipad)専用の有料アプリ。鳴き声の聴こえる方向に向けて鳴き声を5秒間録音し、サンプル音からアプリが候補を挙げてきます。利用者はサンプル音と実物を聞き分けて識別します。
アプリの中には「鳴き声ずかん」もあります(種類は少ないです)。
(マイクを声のする方に向けて録音してくださいとありますが、特に屋外だと風や車の音が入ってしまい、なかなか鳥の鳴き声だけを拾えないのが難点。)
 

夏は1年を通して特に鳥が多いという季節ではありませんが、夏限定の野鳥を見れる貴重な機会を活かして、まずは身軽に、鳥たちのいる森へ出かけてみませんか?





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