どんぐりコーヒーを淹れてみよう
秋も深まり、色んな場所でどんぐりが落ちているのを目にします。
でもマテバシイやスダジイ等以外のどんぐりを食すには、実はとても手間がかかります。
どんぐりの持つ「渋み」を抜く作業が必要になるためです。
さて、この渋みの正体は何なのでしょうか?
今日は「どんぐりを食べること・飲むこと」についてご紹介します。
小さくてかわいい、アラカシのどんぐり。(こぶし緑地)
でもアクが強いので、食べるためにはひと手間もふた手間もかかるのです。
どんぐりのアクの正体
どんぐりのアクの正体は、「タンニン」と呼ばれる成分です。
渋柿を食べた時に舌に残る苦みというか、渋みは、可溶性のタンニンが舌の上で溶けて起こります。
(渋柿を干柿にすると甘味が増すのは、この可溶性の性質が水分が抜けることによって不溶性に変わり、舌の上で苦みを感じる反応がなくなるためです。)
タンニンが少ないブナやシイ類は生で食べたり、炒るだけで美味しく食べることができます。
しかしそれ以外のドングリには、この水溶性のタンニンが多く含まれているので、食用に用いるためには、まずこの成分を抜く作業が不可欠になります。
反対にアク抜きさえしてしまえば、様々な料理に用いることがで可能になります。
今回は、里山でお馴染みの「コナラ」を使って、どんぐりコーヒーに挑戦してみましょう。
コナラの木(こぶし緑地)
コナラの葉っぱ
どんぐりコーヒーの作り方
材料:1人分(18g程度※) どんぐり(今回はコナラ)100g
※コーヒーの軽量スプーン1杯がだいたい10g程度。その1.8倍の粉が必要になります。
1.どんぐりの選別
水をはった入れ物にどんぐりを入れます。拾う時には虫食いの穴があるものは避けますが、再度、この手順で虫に食われていないどんぐりを選びます。
虫に実を食われたどんぐりは水に浮いてきますので、それは全て除きます。
2.殻をむく
どんぐりの殻をむきます。殻が固いので、いきなりナイフでむこうとすると危険です。
トンカチやペンチで殻にヒビを入れて、外していきます。
地味~な作業なので、家族やお友だちと一緒におしゃべりしながらすることをオススメします。
1人でやると、暗い気持ちになります(笑)。
3.スライスする
殻をむいたどんぐりをスライスします。コナラのどんぐりはそんなに大きくないので、縦に4等分程度にしてみましょう。
4.アク抜きする
スライスしたコナラのどんぐりを水にさらします。2時間流水で、という方法もありますが、なるべくエコにいきたいので、今回はタンニンの色が溶けだした水を5回ほど入れ替え、その後一晩置く形でやってみました。
飲むまで不安でしたが、これでも問題なかったです。
5.天日に干す
アク抜きしたドングリをザルにあけ、フキンなどで水気を取ったら、天日に干します。
6.焙煎
コーヒー豆を煎る要領で、どんぐりを焙煎します。熱したフライパンで20分ほど空煎りします。
色が付いてきたらOK。
7.ドリップ
空煎りしたドングリをコーヒーミルで粉状にします。ミルがない場合は、フードプロセッサー等でもOK。
あとはコーヒーと同じように、フィルターに粉を入れ、お湯で濾します。
どんぐりコーヒーの完成です!
こんな感じで細かくなっていればOK。フィルターに入れて、お湯で濾します。
8.試飲
こんなに手間がかかるものを、1人で全部飲むのは勿体ない。
まずは小さいカップでみんなで試飲してみましょう。
ほのかに舌に残る渋み、、、。そこにミルクを足すと味がまろやかになります。
飲み終わった後味は、通常のコーヒーに比べてさっぱりしています。
いつも行く公園や森にある木々の恵みを活かした、秋ならではの深い味わいです。
今回拾ってきたコナラのどんぐりは全てコーヒーにしてしまったので、写っているのは「マテバシイ」のどんぐり。
*
どんぐりを使ったレシピは、「縄文クッキー」や「縄文●●」という名称で呼ばれます。
なぜなら縄文時代には、ドングリを粉にしてお団子やパンを作って食べていたと考えられているからです。
現に縄文時代の遺跡からは、どんぐりを粉状にする石皿やすり石が見つかっています。
しかし縄文時代と一口に言っても、一万年もの間がありますので、その後期には稲作も始まっていたのではないかと推測されています。
もっと簡単で美味しいものがあれば、手間のかかるどんぐりをわざわざ食べる必要もなく、日本人の食文化から「どんぐりを食す」という行為は消えていきました。
しかし手間がかかる分、色んな料理に使えるのもまた、どんぐりの魅力です。
今回ご紹介したコーヒーだけでなく、どんぐり粉にすれば、クッキーやパン、せんべい、ケーキにも使えます。
(もちろん食べないで、そのまま種として利用し、実生を育てることもできます。)
どんぐりの活用法については機会があればまたご紹介していきますので、どうぞお楽しみに。