東山の森の鳥たち ~ 冬編 ~
新年あけましておめでとうございます。
本年も、森+LABOをよろしくお願いします。
さて新しい年に入り、寒さも一段と深まってきました。
外を散策するには厳しい季節ですが、実は冬というのは野鳥観察のハイシーズン。
耳をすませば、森の中からはいろんな鳥の鳴き声が聞こえてきます。
今回は東山の森で見られる「冬鳥」についてご紹介しましょう。
*
「冬鳥」とは越冬するために日本に渡ってくる渡り鳥のことで、
秋にやってきて冬を日本で過ごし、春になると北方へ渡って繁殖します。
ちなみに夏にご紹介した「サンコウチョウ(⇒記事はこちら)」は夏鳥(なつどり)。
夏鳥は繁殖のために日本に渡ってくる鳥のことで、
春にやってきて夏に子育てをし、秋になると南方へ渡って越冬します。
◆東山で見られる冬鳥たち
多摩ニュータウン東山のまわりでは、6種類の冬鳥(カシラダカ、ジョウビタキ、アカハラ、シロハラ、ツグミ、シメ)が、
調査によって確認されています。
モヒカンヘアの「カシラダカ」は、東山の森でも見ることのできる冬鳥。
鳴きかたは「チッ、チッ」あるいは「ティッ、ティッ」と聞こえ、高い声で鳴いています。
冬鳥の「ジョウビタキ」。こちらはオス。
平地から低い山の雑木林や里山にある、明るく開けた場所に生息しています。
こちらはジョウビタキのメス。
鳥の多くはオスとメスで羽の色や形に差があるので、セットで覚えるようにすると楽しみも増えていきます。
「ヒッ ヒッ」や「クルルッ」「カッ カッ」という、よく通る声で鳴きます。
同じく冬鳥の「ツグミ」。秋頃に日本にやってきます。
地面近くをチョコチョコ歩き、たまに跳ねたりしながら餌を探す姿は、どこかユーモラスで愛嬌があります。
主食はミミズや昆虫類なので、たいてい地面近くをガサガサしていますが、木の実も食べたりします。
鳴き声は「クェッ クェッ」または「キイキイー」。
太いクチバシが特徴のシメ(写真は冬羽のメス)。
冬になると北海道から本州以南の落葉広葉樹林に移動します。
山地よりも平地でよく見られる鳥です。
口笛に似た声で「プティッ」「チチッ」と鋭く鳴きます。
◆冬の鳥たちをもっと身近に感じてみよう
冬は食べ物や水場が少なくなる、野鳥にとって大変厳しい季節です。
そんな冬だからこそ、自宅の庭先を利用して、野鳥のための餌台や水飲み場を提供してあげてはどうでしょうか?
庭に鳥たちを呼び込む安全な仕掛けを設けておくことで、
声は聞こえていても姿を見ることのできなかった鳥たちを、家の中からじっくりと観察することができます。
簡単な餌台として有効なのが、「竹」です。
幸い、東山の森の周りには竹林がたくさんあります。
枯れた竹を半分に割って、雨がたまらないように底に釘かキリで穴を開けておきます。
それを庭木の枝(猫が餌台に飛び乗れない高さ)に針金または紐で固定します。
節と節の間に餌をセットすれば出来上がり。
餌はアワ、ヒエ、ヒマワリ、クルミ、古くなったお米、ピーナッツ等。
果物はカキ、りんご、みかんなどで試してみましょう。
同じように餌を枝に縛って固定して置くだけでも大丈夫です。
果汁を吸うメジロ。
メジロは「留鳥」といって、一年中同じ場所に生息する野鳥です。
春先になると桜や梅の花の蜜を吸う可愛らしい姿を見ることもできます。
果物は半分に切っておいてあげましょう。
餌台と一緒に水飲み場をおいてあげると、鳥たちはもっと助かります。
冬は雨が少なくなり、使える水場が限られてしまうためです。
鳥にとっての水場は飲むだけでなく、体を清めて羽を飛びやすい状態に保つといった重要な意味を持っています。
水飲み場で水浴びをするメジロ。
水浴びすることで、鳥は体温を調節したり、羽を清潔に保ったりしています。
なので、いつもきれいな水であることが、水飲み場設置における重要なポイントになります。
水を飲むホオジロ。
冬は水場が凍ったり、枯れたりして利用できる場所が少なくなるため、
同じ水場で野鳥が順番待ちをしている光景を見かけたりします。
それだけ水というのは、生き物にとって、なくてはならない大切なものなのです。
*
春や夏とは違った、冬ならではの鳥との付き合いかた。
すぐそばに森がある多摩ニュータウン東山だからこそ、野鳥と触れ合える環境をもっと楽しんでみてください。
※餌台の設置は冬季だけに限定して行いましょう。
(春から夏にかけての繁殖期は、餌も豊富にあり、それぞれの種ごとに適したものを食しています。)