新緑の森へ

森+LABO森のある暮らしのすすめ 2013.05. 8

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もうすぐ大型連休の「ゴールデンウィーク」がやってきます。
5月初旬は、特に新緑の美しい季節。
多くの人が、美しい新緑を求めて、森へ、山へと足を伸ばすことでしょう。


辞書によれば、「新緑(しんりょく)」とは、
春から初夏にかけて、冬枯れの木々が芽吹き鮮やかな緑色になる現象。」のこと。

今回はこの美しい「新緑」について、LABOします。


■様々な若葉

冬を超える前に葉を落とした落葉樹は、気温が上昇するにつれ、新しい葉を出します。

また落葉樹よりも時期は遅くなりますが、常緑樹も新しい芽を出します。

落葉樹も広葉樹も針葉樹も、新しく出た若葉は、すでに出ている葉と違った色をしています。

しかし成長するにつれ、色がより濃くなって、他の葉と同じ色や形へ変化していきます。

若葉の中で何が起きているのでしょうか?


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ツバキ(常緑樹)の葉芽。常緑樹の芽吹きは落葉樹に比べて遅い。


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シロダモ(常緑樹)の若葉。柔らかく、毛並みの良いうさぎをなでているような感触。

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イロハモミジ(落葉樹)の若葉。縁が少し赤みを帯びている。


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キャッラボク(針葉樹)の若葉。深緑の葉に比べ、若葉は明るい黄緑色をしている。


若葉の色は、木の種類によって様々。
薄い緑色だけでなく、白っぽい緑や紫、種類によっては赤い葉を出すものもあります。

「春先に紅葉?」とビックリしますが、その正体は赤い若葉です。

生まれたばかりの若葉には光合成にかかせない「葉緑素(クロロフィル)」が少なく、まだ十分な光合成ができません。
なので、その間「赤い色素(アントシアニン)」を含む成分で、葉を紫外線から守っているのです。

やがて葉緑素が増え、光合成が十分にできるように葉が成長すると、若葉から赤色が抜けて緑色に変わっていきます。

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クスノキ(常緑樹)の若葉。赤っぽい葉はやがて緑色に変わっていく。

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ヤブニッケイ(常緑樹)の若葉。こちらも赤から緑へ変わっていきます。

*

新緑の森の美しさは、新しく生まれた葉が一時だけ見せる変化の妙が生むものです。

夏に近づけば、もっと濃い緑へと変わっていきます。

だからなのか、日本の伝統色の中には、春から夏にかけての葉の変化を表すような色がたくさんあります。

春になって、木々の芽が萌え出る時の色を「萌黄(もえぎ)」

春の野山の若葉の色を「若草色(わかくさいろ)」

黄色の強い「萌黄」に対して、緑色の強い「萌葱(もえぎ)」

他にも、緑、百緑、錆青磁、緑青、木賊色、若竹色、、、。

さまざまな緑色が重なりあって、そこでしか、その時にしか見れない景色を作り出します。


新緑の森の中へ。

この時期でしか味わえない澄んだ森の空気を、たくさん味わってみてください。

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