ヒョロヒョロの森

イベント報告森+LABO 2013.06. 5

先週の日曜日、森+LABO初のイベントを行いました。
午前中は自然観察会、昼食の後はにしきの森に入って、樹名板をつけました。
このイベントに参加してくれた皆さま、お疲れ様でした。

今回はこの「にしきの森」について、LABOしていきます。

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キリの大木。ちょうど紫色の花を咲かせていました。


■にしきの森とヒョロヒョロの木

にしきの森にある木は、みんなヒョロヒョロと背が高く、葉っぱは上の方にしか付いていません。
これはもともとこの森が、竹に覆われていたことの名残りです。

2010年に撮った写真を見てみると、今よりもっと緑がこんもりと茂っています。
一見、緑豊かな森に見えます。

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しかし、この場所を覆っていた竹を伐採したところ、こんな状態になってしまいました。

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あれっ??(2012年5月13日撮影)

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あれあれ??(2012年5月13日撮影)
竹以外の木がこんなに少なかったなんて!!


ここは保全のために残された森なので、竹以外の木は切っていません。
手前にある小さい木は、にしきの名にふさわしく、モミジやアカシデ、ヤマザクラを移植したもの。
そう考えると、どれだけこの森が竹に覆われていたのか、よくわかりますよね。

竹に覆われた森の中で、植物は生き残るための光を求め、上へ上へと伸びていきます。
そのためこの森の木は、みんなヒョロヒョロと背が高くて、上の方にしか葉っぱが付いていないのです。

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竹を切り、その根も抜きましたが、後に笹が生えてきました。
その笹に森が覆われてしまうと、木の実生(みしょう、※種から発芽した小さな芽)が育たないので、
笹も定期的に刈っています。

そうすると、一年後には、、、。

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こんなに緑が生い茂る、明るい森へと姿を変えていました。(2013年5月19日撮影)


■にしきの森の「いま」と「これから」

先日のイベントでは、参加してもらった皆さんに、自分の好きな木を1本選んでもらい、
樹名板を作って、付けてもらいました。

皆さんに選んでもらった木は、にしきの森の過去、現在、未来を象徴するもの。

大きな木は、竹に覆われていた森の中でもたくましく生き残り、命を繋いできた木です。

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樹名板には木の名前だけではなく、書いた人の名前と日付も入れてもらいました。
特に防腐処理をしていない木片に絵の具で字を入れただけのシンプルな作りなので、
雨風にさらされ、いつか朽ちていくと思います。
でも、この木を選んだこと、そして自分で選んだ木のことはずっと心に残ります。

そして、竹がなくなった林床には光が届き、新たな命がすくすくと成長していました。

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まだ小さな木と小さな子供たち。
人と森が一緒に成長していける場所が家の近くにあるなんて、素敵ですよね。


ヒョロヒョロの木だけが残された「にしきの森」に、人の手が入ったことで、光がさしこみ、
竹という一種類の植物で覆われていた環境も、少しづつ多様性を取り戻しています。


きっと何十年か経てば、この森はその名にふさわしく、春はサクラ、秋は紅葉が美しい
錦の森へと成長していることでしょう。




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