美味しい森

森+LABO 2013.10.10

こんにちわ、森+LABOです。

東京でもすっかり暑さが落ち着き、ひと雨ごとに秋が深まっています。

初秋の森は美味しい森。
 
色んな木の実が食べごろです。
 
今回は身近な森の中にある、食べられる木の実をご紹介します。

130925_001.jpg
堀之内寺沢里山公園にもある栗。
食用に改良されたものなので、森に自生しているヤマグリよりも実が大きく、背丈も低いのが特徴です。

*

さて、森を歩くと、森の縁(林縁部/りんえんぶ)で、こんな実を見かけたことがないでしょうか?

130925_002.jpg
これは「アケビ」。
アケビにはいくつか種類がありますが、その中でも美味しいのが葉が3枚の「ミツバ(三つ葉)アケビ」です。

秋には実が熟して、甘いバナナのような果実を味わうことができます。
中は種ばかりですが、この種を庭や植木鉢に植えておくと、春には芽を出すので、捨てずに撒いてみてください。
皮も天ぷらや漬物になるので、余すことなく食することのできる森のごちそうです。

もうひとつ、秋のごちそうといえば「クルミ」。

130925_003.jpg
多摩ニュータウン東山の中央に位置する「(仮称)南近隣公園」の入り口近くに、大きなオニグルミの木があります。

クルミは写真のような状態で木になっているわけではなく、イチョウの実と同じようにもともとは果肉に包まれた状態で生っています。
皮は厚く、苦み成分であるタンニンが多く含まれ、虫や動物の攻撃に対して強力な防御網を持っています。

しかし10月に入ればその皮は熟して木の下に落ちてきます。
それを拾って、固い核(内果皮)を水で洗い、天日で干します。

中の種子を食べるには、この固い殻を割らなければならないのですが、
オミグルミはその名の通り、殻がとても固いクルミです。
トンカチで叩いたり、ペンチで割ろうとしてもなかなかきれいな状態で中身を取り出すことはできません。

リスや野ネズミは歯で割って食べているわけですから、野生の生きものの持つ能力というのは侮れませんよね。
ちなみにきれいに殻が半分に割れているのはリス、殻の両側に2つの大穴を開けて食べるのはアカネズミだそう。

130925_005.jpg

そしてそんな力を持たない人間はどうするかというと、道具を使います。
人間にしか使えない道具の代表、「火」です。
天日に干したクルミをフライパンで空煎りするか、オーブン等で熱を加えると、殻の中の水分が蒸発するためか、
殻の継ぎ目に隙間が生じます。
そこから簡単に中身が取り出せるので、取り出した実をそのまま食べます。
殻を外す際に熱を加えてあるので、さらに中身だけを煎る必要はありません。


食べられる森の恵みは、ご紹介したヤマグリやクルミ、アケビの他にもたくさんあります。
ギンナン、トチの実、シイ、カヤの実、ヤマイモの実であるムカゴ等も食べることができます。

こういった木の実は森の中の生きもの、特にほ乳類たちの冬の間の大切な食糧です。
皮の固いオニグルミの実も、厳しい冬に備えて、一つずつ運んでは地面に埋めておきます。

130925_006.jpg
冬の間に掘り出しては食べるのですが、掘り出し忘れた木の実は、春になると芽を出し、
やがて新しい場所に根を張って成長していきます。
リスやネズミが実を植えた深さは、芽を出すのに最適な深さなため、発芽する率が高まるのです。

森の中にクルミの木を見つけたら、それはもしかすると動物たちに忘れられた幸運な木かもしれません。


!注意!

秋の森を歩く時はハチに注意してください。
10月頃までは活発に行動し、特に凶暴になっています。
森の中には巣もあったりするので、注意が必要です。

130925_004.jpg

1.偵察にきているハチには手を出さない
偵察しに来ているハチを手で払うなどの行為をすると、ハチは攻撃されていると思って、反対に攻撃してきます。
自分のまわりをハチが飛んできたら静かに身を低くし、少しずつ遠ざかりましょう。
小さなお子さんと一緒に歩くときには、絶対に動かないように、大人が声をかけてあげましょう。

2.巣に近づかない
ハチがたくさん飛んでいるような所には巣がある可能性が高いので、絶対に近づかないようにします。
うっかり近づいてしまったら、身を低くしながら速やかに遠ざかりましょう。

3.暗い色の衣類は避ける
暗い色、特に黒をめがけてハチは攻撃をしかけてきます。
髪の毛や目などは攻撃の対象とされるので、隠すようにしましょう。
同じ理由で、黒色の衣類は避けるようにしましょう。


ページトップ