森の手入れ~ツル切り~

森+LABO 2013.11. 7

台風の影響で暑さの残る秋でしたが、一雨ごとに秋が深まっています。


そんな中、森+LABOでは秋というより、冬のイベントの準備を進めている最中です。
先日は東京森都心 多摩ニュータウン東山住宅地の森へ、下見に行ってきました。

冬のイベントは、森の手入れを兼ねたリースづくりを考えています。
というわけで、今回は森の手入れ~ツル切り~と次回のイベントの準備の様子を交えてお送りします。

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里山の森は雑木林、いわゆる人の手によって生まれた「二次林」が主になります。

この森は人の手が入ることで、より人間に使いやすい形に維持されていただけでなく、
独自の多様性をもった生態系を生む場所にもなっています。

そんな里山の森の手入れは、晩秋から早春の頃までの間に行われてきました。
一番大きな理由は農業です。冬季は農閑期だったため、手入れの人手を
農作業から里山の管理作業や炭焼き、薪割り等に振り分けて行っていました。

また冬に森の手入れを行っていたのには、別の理由もあります。
冬の木々は幹や枝の組織に栄養素を蓄え、固く締まっているため、
この時期に伐採や間伐、芝刈りをすると材質がよいものを得ることができます。

さらに冬季は病原菌や害虫が休眠しているので、切り株や枝の切り口からこういった菌や虫が入らず、
枯れたり、新芽が出てくるのを妨げたりする可能性が低くなります。

春になれば、冬季に切られた切り株から勢いよく新しい芽がのびてきて、また新しいサイクルがはじまります。

このように適度な手入れを継続的に行っていたからこそ、里山の環境は健全な状態に保たれていたとも言えます。

手入れで出た枝やツルといった自然資源ももちろん農具や生活用品に活用していました。

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さて冬のイベントでは、里山の森の手入れとして「ツル切り」を体験していただこうと考えているわけですが、
炭の材にするわけでもないのに、どうしてこれが手入れとして必要なのか疑問に思う方もいると思います。

131023_001.jpgフジ(藤)のツルは春の森の彩りになりますし、綺麗ですよね。

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テイカカズラも木の幹を覆いながら上に伸びていきます。
花が咲くと美しいです。

こういったツル植物は、森の中の他の木を足がかりに、上へ上へ伸びていきます。
一番上まで伸びていけば、どの植物よりも多くの日光を受けることができるので、
森の一番上面を目指して伸びていくのです。


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外側から見れば美しいフジの森の中はこんな状態です。

ツル植物に覆われた森の中は暗くなり、段々と生息できる植物の種類が減っていきます。
特に林の一番下、林床(りんしょう)と呼ばれる部分で生きていた植物は少しずつ姿を消していきます。

もちろんツルに絡まれた木も無事ではいられません。
特にフジは締め付ける力が強いので、巻き付かれた樹木が枯れる前に、定期的なツル切りを行う必要があります。

そしてこのツルは丈夫で、いろんなものに使える貴重な素材になります。
大きいもので言えば、蔓橋。
小さいもので言えば、カゴ。

今回はこういったツル植物を利用して、森の手入れの後にクリスマスやお正月用のリースを作ります。

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これはまだ細いフジツルを利用したリース。
左側に付いている飾りは、枯れて落ちていたスギの葉と実です。

素材を集めながら形を作っていきます。

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こちらは緑色の葉っぱがたくさんついているテイカカズラ。
ここに、森に落ちている木の実や公園に生えていた雑草といった素材を集めてつけていくと、、、

こんなに素敵なリースができます。(じゃん!)

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もちろん緑色の葉っぱは、水がなければ枯れてしまいますので、
長く楽しみたい人は最初から葉が付いていないツルを使います。

イベント当日にはこんな木の実なども拾えたらいいな~、と。

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まだ日にちが確定していないのですが、詳細が決まりましたら、住民の方にはチラシを配布してお知らせしますね。

里の森の手入れと、森のある生活の楽しみを一緒にしていくことで、
森を含む里山の環境の多様性を上げ、かつそこに暮らす人たちの生活を潤すような、
楽しくて意義のあるイベントにしていきたいと考えています。

お楽しみに~。

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