落葉の行方

森+LABO 2013.12.11

秋も深まり、森の中でも落葉がだいぶ目立ってきました。

雑木林にはコナラやクヌギ、栗やヤマザクラなどが多いので、
真っ赤に染まるという景色とはまた違っています。

131120_001.jpg

森の上に積もった落ち葉は、道路などの舗装された場所に落ちたものと違い、いつの間にか消えていきます。
その違いはなぜなのか、不思議に思ったことはないでしょうか。
今回はこの森に降り積もった落ち葉の行方をLABOします。


森の中で落ちた葉は土の上に降り積もります。
この土の中には、「分解者」と呼ばれる眼には見えないほど小さい生きものが、一握りの土の中に何憶、何兆と存在しています。

分解者は微生物と、ミミズや昆虫の幼虫などの地中動物からなる、土壌生物のことで、
森の上に降り積もった落ち葉や枝は、まずミミズやワラジムシといった大型の土中動物が食べて細かくします。
さらに細かい葉はダニやトビムシが食べて、さらに細かくなります。
落ち葉や枯れ枝といった有機物は、このように地中生物に食べられることで、団粒状になって排出されます。
細かくなって排出された有機物に、菌類・細菌類からなる微生物が侵入し、これらが有機物であった落ち葉や枯れ枝、
動物の糞や死骸などを無機物へと分解していきます。

さらにミミズなどの地中生物が土中を動きまわることで、土の中に隙間やトンネルが形成され、水や空気も流れやすくなります。
土壌生物が豊富な土が「ふかふか」なのは、こういった活動が活発な証拠なのです。



131120_002.jpg
生きた土、肥えた土とは、土壌生物が豊富に住んでいる土とも言えます。
手ですくってみるとふかふかしています。

里山の雑木林の土の上には、落ちたどんぐりが根を下ろし、厳しい冬を乗り切る準備をしています。
落ち葉が土の上に重なることで、地面の乾燥を防ぐ役割も果たしています。
湿潤で、適度に日当たりのある林床では、実生(植物の種が発芽し、成長した苗のこと)の生き残れる可能性も高まるのです。

131120_003.jpg

さて土壌生物によって分解された落ち葉などの有機物は、微生物による分解によって無機物へと変化し、植物が根から吸収できる栄養素になります。
土壌生物は、植物や動物といった有機物を最終的には分解し、植物が利用できる形に変える力を担っています。
自然が持つ自浄作用というか、循環の仕組みが生み出す無駄のなさに感心するばかりです。


落ち葉が増える季節になると、その落ち葉の処分に困るというお話をよく耳にします。
公園などでは園内から出た落ち葉をひと所に集めて、腐葉土やたい肥化して、園内の植物に使ったり、市民に配布したりしているようです。

しかしそもそも森のように、落ち葉が土壌生物によって自然に分解されていく環境を作れば、
そこにかけている労力や予算も減らせるように思うのは安直でしょうか。

私たちが森や自然から学べることは、まだまだたくさんあるようです。

ページトップ