冬の光、春の色

森+LABO 2014.03.14

こんにちは、森+LABOです。

とうとう東京にも大雪が降りましたね。

あまり雪になれていない地域でたまに雪が降ると、日常生活にいろいろと支障がでそうですが、
たまに目にする雪景色というものはなぜか人を高揚させるようです。
翌日には雪だるまを色んなところで目にしました。

さて今回は「冬の光、春の色」と題して、色の不思議についてLABOします。

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雪の森。なぜ雪は白いのでしょうか。


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さて「色」とは何か、学校の授業で習った方もいると思いますが、改めておさらいしてみましょう。

そもそも「色」とは、電磁波と呼ばれるエネルギーの1種で、波長の違いごとに性質も異なります。
その中でもごくごく一部、十億分の1mの波長の中にだけ人間は色覚を感じます。

太陽から届く電磁波のうち、人の目が認識できる光を「可視光線(かしこうせん)」と呼びます。
青紫・青・緑・黄緑・黄・橙・赤といった順に連続し、青紫が一番波長が短く、赤に向かって波長が伸びていきます。
(そのため人の目に見えない一番波長が短い光を「紫外線」、一番波長が長い光を「赤外線」と呼びます。)

葉っぱが緑に見えるのは、この可視光線の中で緑以外の光が吸収された証。
葉に反射された光の波長(補色の複合色)を人間の脳が「緑」と認識することで、初めて葉っぱは緑ということになっているのです。

雪は白く見えますが、それは雪がほとんどの光波を反射するため「白い」と認識されているのです。
なんだかややこしいですね。

葉の中にはクロロフィルとよばれる葉緑素があり、光合成をおこなっています。
光合成とは太陽の光を取り込んで、水と二酸化炭素から炭水化物を製造する植物にとっては命の源になる活動です。

クロロフィルが光合成をおこなうために必要な光の波長は、人が認識できると言われる「可視光線」と同程度の範囲になります。
数値で表すとおよそ 400 ~700 nm です。
ただこの光合成に使われる波長は、青と赤系が中心で、その中間となる緑色はあまり使われることなく葉の表面から外側へ放出されます。

春になると新芽が出てきて、5月頃には新緑のまぶしい季節になります。
落葉樹の場合は、秋から冬にかけて紅や黄色に変化した後に葉が落ちていきます。
葉っぱが季節ごとに違った色に見えるのは、葉の中に含まれる成分が季節ごとに変化しているためです。

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葉の中に含まれる成分のうち、クロロフィルが多ければ短波長光(青)、長波長光(赤)のエネルギーが多く吸収されるため緑色に。

クロロフィルの分解が進んでアントシアニンが増えれば短波長光(青)と中波長光(緑)が吸収されるため赤色に、
アントシアニンではなくカロテロイドを含む植物の場合は、反対に中波長光(緑)、長波長光(赤)が重なり黄色に見えるわけです。

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枯れた葉が茶色く見えるのは、光合成をおこなう成分「クロロフィル」が失われた証。
でも枯れて落ちた葉も土の中にいる微生物によって有機質が分解され、また違った形で命を支える役割を果たします。


太陽の光を生きるためのエネルギーに変えられるのは植物だけが持つ力です。
植物が自身の生命を維持するために行っている行為が、そのまま私たちが暮らすこの地球に彩りを与えてくれていると思うと、本当に自然や生命とはよくできているものだなーと感心してしまいます。

厳しい寒さもそろそろ終わり。
さまざまな色があふれる春はすぐそこまできています。

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