芽吹く力
こんにちは、森+LABOです。
とうとう春がやってきましたね。
森で拾ってきたどんぐりも芽を出し始めました。
以前、「どんぐりコーヒー淹れてみよう」の中で森で集めたどんぐりの殻を割って、
実を焙煎してコーヒーを作ってみたことがあります。
秋ごろの殻はペンチでも割りづらいほど固かったのに、冬になっていつの間にか内側から割れていました。
どんぐりは冬の間に殻を割って根を伸ばし、静かに春を待っています。
地中にしっかり根を張ってから、芽を出しやがて上へと伸びていきます。
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そもそも植物は大きく根と茎、2つの軸性器官によって成り立っています。
この2つの器官の生長方向は正反対で、根は重力にしたがって下へと伸び、光合成に欠かせない水を探してさらに根を伸ばしていきます。
反対に茎は重力に逆らい上へ、さらに光のある方へ伸びようとします。
根が下へ、茎が上に伸びる働きを「重力屈性」、水や光のある方へ伸びようとする力をそれぞれ「水分屈性」・「光屈性」と言います。
※屈性とは生物が外部刺激に応じて成長運動や旋回運動を示す生物学的現象のこと
また植物は伸びることと太ることを繰り返しながら生長していきます。
ドングリを例に取ると、まずどんぐりの殻が割れたのは、殻の内部が太ったことと殻の水分が失われたことによって
殻の硬度が弱くなってきたからだと考えられます。
そして殻の外に出た根は、重力にしたがって下へ下と土の粒子の間の水で満たされた隙間を縫って太りながら伸びていきます。
そして土中から水分を得ることができるようになってから、葉のついている茎部分を上へ上へと伸ばし、
やがて新芽を開き、光合成を開始します。
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木の周りにおちたどんぐりの発芽率は意外なほどに低く、なんと2割程度。
しかし秋ごろに落ちてすぐのドングリを拾って、土の中に埋めてあげるだけで、その発芽率は大きく高まります。
東山の森で拾ったドングリで苗を作り、いつかみんなが育てた苗で森の緑化もしてみたいものです。
ちなみに東山住宅地にある樹齢200年程のスダジイも、ドングリによって命をつないでいく植物です。
この大きな木も、小さな芽吹きからここまで生長し、200年経った今でもこの地に暮らす人々を見守っているのです。