恋する季節

森+LABO 2014.08.20

こんにちは、森+LABOです。

梅雨も終わりに近づき、「セミ」の鳴き声を聞くと「今年も夏がきたなあ。」という気持ちになります。

実はセミが出るのは夏だけではないのですが、出る種類が夏の方が多いので、
そういう気分になるのでしょう。

今回はそのセミについてLABOします。

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セミは卵から幼虫、幼虫から成虫へと姿を変えていく「不完全変態(ふかんぜんへんたい)」を行う昆虫です。
不完全変態とは、「羽や外部生殖器の原基がすでに幼虫期から外部に現れ,蛹(さなぎ)の時期がなく脱皮のたびに成虫の形に近づく。」ことを意味します。
※これに対し「完全変態(かんぜんへんたい)」とは幼虫が蛹になってから成虫へと羽化するもので、チョウ類やハエ類、甲虫類の多くがこれに属しています。)

さて夏は多くのセミにとって旅立ちの季節でもあり、恋の季節でもあります。
成虫となって羽を得たオスとメスが出会い、次の命をつなげていくための重要な季節なのです。

鳴くのはオスだけで、おなかのところにある「腹弁(ふくべん)」を振動させて、メスへのアピールをしています。
オスの鳴き声に応じたメスがオスのところに飛んできて交尾をし、メスは産卵管を木の幹や枯れ枝に突き刺し、ひとつづつ卵を産んでいきます。

木の中で冬を越した卵は翌年の梅雨時期に幼虫となり、穴を這い出して木の幹を伝い、あるものはそのまま地面へと落ち、自ら地面に穴を開けて地中にもぐっていきます。

飛び回っている成虫の寿命は2週間から1ヶ月程度といわれていますが、幼虫は地中にもぐってから木の根から栄養を吸って大きくなるので、
ゆっくりと大きくなっていきます。
アブラゼミの場合、5年~7年程度の地中生活を経て、ようやく地上に出て羽化する準備が整います。

多くのセミは生まれるまでの間、数年間、さらに長いものでは十数年を土の中で過ごします。

そして成虫になるために地中へ出て、鳥に教われないよう多くは夕方から夜間に掛けて脱皮を行います。
夏になるとよく見かけるセミの抜け殻は、成虫になって飛びだっていったセミの痕跡なのです。

もちろん木の枝の下がコンクリートに固められていたら、木の幹で帰った幼虫の多くは地中にもぐることができません。
そういう意味で街路樹などはセミにとって過酷な状況であるといえるでしょう。

土手沿いや公園など、木の下が土になっている場所で特にセミが多く鳴いているのは、
その下にセミの幼虫が暮らせる環境があったことの証です。

今年もセミの鳴き声を聞きながら、夏の訪れを感じていくことでしょう。

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