涼風至

森+LABO 2014.09. 3

8月7日は立秋。暑さが厳しい折ですが、暦の上ではすでに秋に入っています。

涼風至(すずかぜいたる)とは七十二候の三七候にあたり、涼しい風が立ち始める頃です。

強い日差しを避けて木の陰に入ったとき、ふっと頬をなでる涼風を感じたことがないでしょうか?
今回はこの「木」と「涼風」の関係についてLABOします。

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木の下が涼しいのは、単に日陰だからではありません。
建物や構造物で作られた影に入るよりも、木陰に入った方が涼しく感じます。

植物は光合成をする際に根から吸い上げた水分を使います。
光合成であまった水分は葉の表面から外へ放出され、その際に葉のまわりの熱を奪って蒸発(気化)していきます。

このような植物の蒸発散効果により、葉の表面の温度が下がり、冷たい空気は下に、熱い空気は上に動いて、木のまわりに小さな風の流れが生まれます。


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木陰に入って微風を感じるのは、葉の表面に放出された水分によってそのまわりの熱が冷まされたことで生まれた「空気の流れ」によるものなのです。

この植物の蒸散効果を利用したのが、皆さんご存知の「緑のカーテン」です。
自宅や会社などでも取り組んでいる人も増えましたよね。
植物で日よけを作る一番大きな効果は、蒸散効果によって植物のまわりの温度を下げられることです。


もちろんこの緑による効果は塊として大きくなればなるほと、大きな効果を発揮します。
都会の真ん中にある新宿御苑でも、公園の緑が生み出す涼しさが周辺へ滲み出し、夜間のヒートアイランド現象を軽減させていることが、調査によって明らかになっています。


暦の上では秋とは言え、まだまだ残暑が続いています。
暑いときには木陰に入って、涼しい風を感じてみてください。


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