里の実り

森+LABO 2014.12. 1

秋を代表する実りと言えば柿です。


141112_001.jpg

柿は里山の秋の景色に彩りを与えてくれる果樹です。
渋い柿でも皮を剥いて干しておくと甘くなって、美味しい干し柿になります。
この干し柿は千年も前から作られてきた保存食ですが、
砂糖がなかった時代においては特に貴重な甘いものだったのです。

今の「お菓子」の「かし」という語源も、元は柿の実を表す「柿子(かし)」から来ているんですよ。


さてそんな柿ですが、その魅力は甘い実だけにあるわけではありません。
柿の葉には緑茶の20倍とも言われるビタミンCが含まれています。

それだけではなく、青い実の果汁を搾り、1年以上ねかして発酵させた「柿渋(かきしぶ)」には、
防腐効果や防水効果があります。
柿渋は不溶性の被膜を作るので、木材や船や魚をとる網に塗ると水をはじき、腐りづらくします。
また日本酒のにごりを取り除いたり、皮をなめしたり、うるしの下塗りに使ったり、虫さされに塗って炎症を抑えたり、
さまざまなことに役立ちます。

141112_002.jpg

このような理由から、農家では柿から「柿渋」を採るために、かならず1本は庭や畑に植えていました。

秋の里山を彩る柿は、ちゃんと理由があってそこにあったんですね。

ページトップ