旅する種たち~松ぼっくり~

森+LABO 2014.12.24

クリスマスの時期になると、クリスマスリースやツリー用のオーナメントとして
松ぼっくりを目にする機会が増えてきます。

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よく目にする松ぼっくりですが、これが何の植物の何なのか意外と知られていません。
今回はこの松ぼっくりをLABOします。


松ぼっくりは種を守るかさ状の殻をもった松の木の実の俗称です。
(ぼっくりとは「ぼくり(=ふぐり)」が転じた言葉。)
一般的によく見かけるのは、アカマツやクロマツの松ぼっくりですね。

マツ類は裸子植物に分類される木で、同じ類に属する植物にはスギ類、ヒノキ類があります。
それらの木の実は種がかさ状の構造体に包まれていることから、
「球果植物門(きゅうかしょくぶつもん)」という呼び名で分類されています。

つまりマツ類以外のスギやヒノキ類でも、松ぼっくりによく似た実「球果」をつける木があるんですね。
もちろん種類によって球果の形が違うので、そこから樹種がわかったりします。

球果植物は基本的に乾燥すると松かさが開き、
中に入っている翼状の種を風に飛ばし、
種を飛ばした松かさが枝から自然落下するような構造をしています。
(反対に湿度が高まると松かさは閉じていきます。)
アカマツやクロマツはこれにあたります。

同じ球果植物でも、動物に食べられることで自らの種子を拡散させようとするタイプの
球果もあります。
リスやネズミやカラスjなど、食べものをいったんどこかに埋めて貯蔵しておく習性
(貯食行動)のある動物により、球果は森のあちこちに散らばって、
運よく食べられなかったり、掘り起こされなかった場合はそこから芽吹いていきます。

種たちはあの手この手で、より高い確率で種を残そうとしているんですね。
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余談ですが、リスにかじられて芯だけ残った松ぼっくりの実を「リスの海老フライ」と呼ぶ人もいるようです。
松かさの奥にある「松の実(種)」は、冬場には貴重な食べものとして森の中の生き物を支えています。

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