雨の季節

森+LABO 2015.10. 2

雨の季節を代表する植物といえば、あじさい。

青や紫、時に白やピンクの花をつけて、森や公園の中だけでなく、庭木としても人気の花です。

150610_003.jpg

今回はこのあじさいについてLABOします。


*
さてアジサイというと、大きな丸い花を思いうかべる人も多いでしょう。
でも実はアジサイの花と思われているのは花ではなく、「萼(がく)」が大きく発達したもので「装飾花」と呼ばれる部位です。
アジサイの仲間の花は、その他に「両性花」という、めしべとおしべが両方ある小さな花を持っていて、
装飾花だけ、または装飾花に隠れて両性花が見えないものを「アジサイ」と呼び、
「装飾花」と「両性花」の両方が見える種類を「ガクアジサイ」と呼んで分類します。

アジサイは元から日本にあった植物ですが、江戸時代にシーボルトによってヨーロッパへ渡り、
「ハイドランジア(西洋アジサイ)として逆輸入されました。
日本に自生するアジサイはアジサイ、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、タマアジサイ、ノリウツギなど約14種類もあるんです。

150610_001.jpg

アジサイの大きな特徴は、花の色が土壌酸度によって変化することです。。
植わっている土壌の酸性度(pH)によって花の色が変わり、
一般的に「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になると言われています。

もう少し詳しく言うと、土壌が酸性の場合、アルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、
アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合して青色になります。
日本は火山国で、雨も多い国土のため、基本的に土壌は弱酸性なので、青いアジサイが一般的です。


150610_002.jpg

土壌が中性やアルカリ性であればアルミニウムは溶け出さないので、花は赤色となります。
なのでもし花を青色にしたいのであれば、酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを与えれば青い花が咲くでしょう。

さらにアジサイは同じ株でも部分によって花の色が違ったりして、それがまた魅力を増す要因にもなっているのですが、
これは根から送られてくるアルミニウムの量に差があるため。

花の色は花(萼)1グラムあたりに含まれるアルミニウムの量がおよそ40マイクログラム以上の場合に青色になる言われています。
もちろん遺伝子的な要因で花が青色にならない品種もあるので、アジサイの全てが青色になるわけではなりません。

150610_004.jpg
さらに花色は開花から日が経つほど大きく変化していきます。

最初は花に含まれている葉緑素のため薄い黄緑色をしていますが、
それが分解されていくとともにアントシアニンや補助色素が生合成され、赤や青に色づいていきます。

さらに日が経つと有機酸が蓄積されて、青色の花も赤味を帯び、最終的には緑に戻ります。
このように、刻々と色が変化するところが、あじさいの大きな魅力のひとつですよね。


梅雨はまだこれからが本番。
雨の季節を彩る花を探して、森を散歩するのも楽しそうです。

ページトップ