森と蚊

森の手入れ 2015.11. 9

こんにちは、森+LABOです。

夏らしさが増す今日この頃。
夏は虫たちの活動も活発な時期です。
今回はその虫たちの中でも特に暑い時期の森とは切り離せない「蚊」について、LABOします。


緑がたくさんあると、それだけで蚊が多そうな印象を受けますが、実際のところ蚊は緑があるだけでは発生できません。

蚊の一生は、水から始まります。
順を追って蚊の一生を見てみましょう。

蚊は卵→幼虫→蛹 ( サナギ ) →成虫の順に成長する昆虫です。
普段は風通しの悪い藪や草地に生息し、花の蜜などを吸って生きています。

そんな蚊ですが、生き物の血が必要になる時があります。
それは「産卵」です。つまり蚊は産卵時期の雌しか血を吸いません。

蚊の雌は産卵のために吸血すると、その後、水際や水面に卵を産みつけます。
この吸血と産卵は蚊の短い一生のうち 3 ~ 4 回繰り返されます。

幼虫 ( ボウフラ ) から蛹までは水中で過ごし、 夏期の好適条件下では、産卵後約 12 日間で成虫になります。
蚊は飛翔性の生き物なので、成虫になって飛翔する幼虫の段階で駆除する必要があるのです。



ここで話を最初に戻すと、緑があるだけでは蚊は発生しません。
森の中にある小さな水たまりが蚊の発生源となっています。
例えば折れた竹の中や、捨てられた缶やごみにたまった雨水。
蚊は小さな水たまりさえあれば、家の庭先や街中でも発生する生き物なのです。

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数年前に問題になったデング熱のような感染症は、蚊の吸血によって人から人へうつります。
ただ蚊に刺されるだけなら害が少ないように思いますが、今は交通や輸送の技術や範囲が広がり、
日本では起こり得なかった感染症の被害にあうこともあります。
2014年8月には、日本では約70年ぶりとなるデング熱の国内感染が確認され、東京都福祉保健局によるとその数はなんと160名!
驚きの数字です。

もし「うちのまわりは緑が多いから蚊も多いんだ。」とあきらめている方がいたら、
森の清掃をして、水がたまりそうな竹の切り株や空缶や弁当の空き容器などのゴミを捨ててみることをおススメします。
竹の切り株は竹の繊維に沿って縦に切り込みを入れて、水がたまらないようにしましょう。

家の庭先でも同じですが、まずは蚊の発生源となる場所をなくすことが重要です。
またヒ トスジシマカは、活動範囲が半径 100 ~ 150 mと狭く、吸血対象が近 づいてくるのを待ち伏せする習性があるため、湿った風通しの悪いや ぶや草むらは、格好の潜み場所になります。

そのため、もしササが繁茂し藪と化した森があったら、少し手を入れて風通しをよくしてあげると、蚊が潜む場所を減らすことにつながります。


せっかくの豊かな緑を、夏でも心地よく楽しみたいなら、ゴミ拾いやササ刈りといった管理が効果的なんですね。



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