土の中で目覚めを待つもの
こんにちは、森+LABOです。
1月に入り、寒さも増してきました。
今日はそんな寒さが厳しい、冬の森の「土の中」についてLABOしていきます。
こんな風に霜が降りても、地中は意外とあたたかいってご存知でしょうか?
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一月に入り、雪が降る日もあったりして、一段と寒さが厳しくなりました。
しかしそんな寒い冬でも、そして暑い夏でも、実は地中の温度というのは一年を通して同じくらいに保たれています。
例えば10cmくらいの地中では、一年を通して5度くらい。
東京では10mくらいの場所だと約17度くらいで一定しています。
この比較的浅い部分(数m~200mくらいまで)にある熱エネルギーのことを「地中熱」と言います。
「地中熱」は太陽熱で暖められた地面の熱が地中へ伝わり、蓄えられたものです。
この変化の少ない地中熱を利用して、暖房や融雪、温室での植物の栽培等にも役立てることができます。
しかしこの温度変化の少ない地中に植物の種があると、発芽することができません。
なぜかというと、種はその実の中に、発芽し、さらに地上に芽を出してから光合成を始めるまでの栄養を蓄えているのですが、
地中の深い場所に種があると、発芽しても地上に辿りつくことができないため、植物は発芽しないのです。
(反対に一日の気温の変化を感じられる場所に出ることができれば、植物が発芽する可能性が高まると言えます。)
もともと植物の種は、いっせいに芽を出す訳ではなく、いろんな状況下で生き残れるように、
何%かは埋土種子として土の中で休眠し、生き残れる条件がより高まるように目覚めのタイミングを待っています。
たまにニュースで古代の種が遺跡の中から見つかり、何千年ぶりにその植物の発芽に成功した、
というニュースを見かけますが、土の中というのは植物にとって安全なタイムカプセルのようなものなのかもしれません。
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土の中にはさまざまな植物の種子が眠っています。
例えば動物が餌を求めて土を掘り返したり、木が倒れて根が出たり、はたまた地滑りなどで地中が地上に露出すると、
今まで地中にあった種子たちが目を覚まし、新たな命を森の中にもたらします。
一見すると何もない土の中には、実は外に比べるといつでも涼しく、暖かく、そして様々な命の種が眠っているのです。