巣、いろいろ

森+LABO 2017.04. 6


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森の中をふと見上げてみると、何やらもじゃもじゃしたものが見えます。
鳥の巣です。

今回は森の中で見かける「鳥の巣」について、LABOします。


ひとくちに「鳥の巣」と言っても、その形はざまざま。
人の数だけ家の形があるように、鳥の巣もそれぞれです。

でも鳥にとっての巣は、人にとっての家と異なり、子育て期間限定で使われるものです。

つまり繁殖期を経て卵が無事に孵り、ヒナが無事に巣立っていくまで、その命を守るシェルターのような役割を持っているのです。
この期間だけは親鳥も巣の中で寝起きします。

それ以外の期間では、鳥は「ねぐら」という特定の場所で眠ります。
(都市化が進んだ都会では、駅前の大木をハクセキレイのねぐらにされて、大量の糞に悩まされていたりしますよね。)

では森の中で見られる鳥の巣を、いくつかご紹介しましょう。


最初に紹介するのはエナガの巣です。
エナガはスズメの仲間で、日本でも2番目に小さい鳥です。
スズメよりも小さく、体重は8グラムほど、体長は14cmしかありません。

小さくモフモフとした体に対し、長い尾を持っており、その長い尾が「柄杓の柄」に似ていることから「エナガ(柄長)」という名前が付けられました。

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エナガは木の幹や枝の根本に小さな袋状の巣を作ります。

材料は苔、クモの巣、鳥の羽や動物の毛。

エナガの繁殖期である3月頃になると、苔を集めて球形にし、外側には蜘蛛の糸で別の苔を貼り付け、
内側には羽毛やウサギの毛などを敷くという凝った巣を作ります。

凝った巣を作るエナガは、「匠鳥(たくみどり)」と呼ばれることもあったようです。

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また、エナガは繁殖期でも群れのまま行動することでも知られており、ヒナの親以外の群れの鳥がヒナに餌を与える場面も目撃されています。
群れで子育てをする鳥なんですね。

さて、次はキジバト。
(鳩というと、よく公園やお寺に群れている鳩を連想しがちですが、あれはドバト。キジバトとはまた違った種類の鳩です。)

茂った木の中から「デデッポポー」「デデッポポー」という鳴き声が聞こえたら、キジバトのいる証拠です。

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キジバトは木の上にまばらに木の枝を組み、皿形の巣を作ります。
あまりにも粗に組むので、下から見ると透けて見えるほどです。


kijibato_nidus-avis.png

しかし卵は親鳥の体に比べ小さいためか、おおざっぱに作ったような巣でも十分に温められるようです。
1度に産む卵は2つだけ。昼は雌が、夜は雄が、交代で卵を温めます。

ハトの仲間は「ピジョンミルク」という子育てのために作られる特別な液体をヒナに与えて育てます。

このピジョンミルク、雄も出すことができるので、キジバトは雄雌が交代で子育てをするのです。

人間に置き換えて考えると、夫婦ともに母乳が出るようなものですから、すごい機能ですよね。


一口の鳥の巣といっても、機能も形も様々。
基本的には小鳥が巣立ったあとの巣は捨てられて、次の繁殖期には新しい巣が作られるといいますが、
都市化が進んだ場所にかけた巣箱の巣は、同じもしくは異なるつがいが繰り返し使うこともよく見られます。

巣は子育てになくてはならないもの。

もし見つけても壊さずにそっとしておいてあげましょうね。

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