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野に咲く花、森に咲く花

森のある暮らしのすすめ 2014.12.24

大型連休も明けて、陽気も春というより、初夏めいてきました。

そんな中、5月19日に森+LABO初の屋外イベントを開催する準備として、森+LABOスタッフで東山住宅地の周りを下見してまいりました。

詳しい内容は当日のお楽しみということで、今回は東山のまわりで見かけた小さな花たちをご紹介します。

イベントのお知らせは、最後にご紹介します。


まずはこの花。
東山住宅地の「もりみの公園」の中に咲いている紫色の可憐な花。

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見えにくいですかね?でも現地に行くと、一番気になる可憐な花です。

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花のアップ


この植物は「マツバウンラン」と言って、北米が原産の帰化植物です。

帰化植物というのは、人為的な導入や偶発的な移入により侵入してきた植物が、やがて定着し、野生化したもののことです。

オオイヌノフグリやセイタカアワダチソウ、ヒメジョオンなどがその代表です。

まあわかりやすく言い換えると、「本来であればここにあるはずのない植物」なのです。




そして歩を進めて、里山公園に向かう途中の路傍には、こんな可憐な花が咲いていました。

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紫色のニワゼキショウ

アメリカ原産の植物が観賞用に輸入され、帰化植物となったもの。

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ニワゼキショウはまとまって咲いていたのですが、その向こうには満開の菜の花が。

いやー、いいですね。




さらに森の中には、モミジイチゴや,,,

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ヘビイチゴの花が咲いていたりして。

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旬な感じを醸し出していたのでした。(花が咲いてから、実がなるので旬はこれからですが、、、。)

そうそう、近くの菜園では、いちごが旬を迎えていました。




5月19日のイベントでは、こういった自然観察会と合わせて、
「錦の森」の中から、マイツリーを選んで樹名板を付けるメニューもご用意しています。

昼食も用意していますので、気軽にご参加ください。
森を楽しむ活動を通じて、東山住宅地にお住まいの皆様の交流を
いっそう深める機会にしていただければと思っています。

ぜひ一緒に、新緑の森を楽しみましょう。





<新緑の森を楽しむ>

講   師 : 坂場光雄さん((株) 地球工作所/NPO 法人サヘルの森代表)

日   時 : 5 月19 日(日) 9 : 30 ~ 15 : 00 (受付9 : 00 ~)

メニュー  : 午前の部・自然観察会
         昼食・住民交流会
         午後の部・樹名板作成

定   員 : (追加募集)30 名

申込締切 : 5 月12 日(日) まで
         ※定員を超えるお申し込みがあった場合は先着順になります。

応募条件 : 多摩ニュータウン東山住宅地にお住まいの方
         ※小学生以下は保護者同伴

参加費   : 無料

申し込み方法:
東山住宅地にお住まいの方には、各戸へ申し込書を配布させていただいております。
参加をご希望の方は、申し込み書に必要事項を明記の上、
積水ハウス・東山オフィスまたはダイワハウス・インフォメーションセンターまでご持参ください
(各社共通:営業時間10 時~ 18 時、毎週火・水定休)。後ほど参加証をFAX にてお送りさせていただきます。
また申し込み書がお手元にない場合は、積水ハウス・東山オフィスまたは
ダイワハウス・インフォメーションセンターに予備がございますので、お立ち寄りください。

新緑の森へ

森+LABO森のある暮らしのすすめ 2014.12.24

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もうすぐ大型連休の「ゴールデンウィーク」がやってきます。
5月初旬は、特に新緑の美しい季節。
多くの人が、美しい新緑を求めて、森へ、山へと足を伸ばすことでしょう。


辞書によれば、「新緑(しんりょく)」とは、
春から初夏にかけて、冬枯れの木々が芽吹き鮮やかな緑色になる現象。」のこと。

今回はこの美しい「新緑」について、LABOします。


■様々な若葉

冬を超える前に葉を落とした落葉樹は、気温が上昇するにつれ、新しい葉を出します。

また落葉樹よりも時期は遅くなりますが、常緑樹も新しい芽を出します。

落葉樹も広葉樹も針葉樹も、新しく出た若葉は、すでに出ている葉と違った色をしています。

しかし成長するにつれ、色がより濃くなって、他の葉と同じ色や形へ変化していきます。

若葉の中で何が起きているのでしょうか?


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ツバキ(常緑樹)の葉芽。常緑樹の芽吹きは落葉樹に比べて遅い。


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シロダモ(常緑樹)の若葉。柔らかく、毛並みの良いうさぎをなでているような感触。

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イロハモミジ(落葉樹)の若葉。縁が少し赤みを帯びている。


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キャッラボク(針葉樹)の若葉。深緑の葉に比べ、若葉は明るい黄緑色をしている。


若葉の色は、木の種類によって様々。
薄い緑色だけでなく、白っぽい緑や紫、種類によっては赤い葉を出すものもあります。

「春先に紅葉?」とビックリしますが、その正体は赤い若葉です。

生まれたばかりの若葉には光合成にかかせない「葉緑素(クロロフィル)」が少なく、まだ十分な光合成ができません。
なので、その間「赤い色素(アントシアニン)」を含む成分で、葉を紫外線から守っているのです。

やがて葉緑素が増え、光合成が十分にできるように葉が成長すると、若葉から赤色が抜けて緑色に変わっていきます。

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クスノキ(常緑樹)の若葉。赤っぽい葉はやがて緑色に変わっていく。

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ヤブニッケイ(常緑樹)の若葉。こちらも赤から緑へ変わっていきます。

*

新緑の森の美しさは、新しく生まれた葉が一時だけ見せる変化の妙が生むものです。

夏に近づけば、もっと濃い緑へと変わっていきます。

だからなのか、日本の伝統色の中には、春から夏にかけての葉の変化を表すような色がたくさんあります。

春になって、木々の芽が萌え出る時の色を「萌黄(もえぎ)」

春の野山の若葉の色を「若草色(わかくさいろ)」

黄色の強い「萌黄」に対して、緑色の強い「萌葱(もえぎ)」

他にも、緑、百緑、錆青磁、緑青、木賊色、若竹色、、、。

さまざまな緑色が重なりあって、そこでしか、その時にしか見れない景色を作り出します。


新緑の森の中へ。

この時期でしか味わえない澄んだ森の空気を、たくさん味わってみてください。

春の森を食す-タケノコ編

森+ごはんLABO森のある暮らしのすすめ森の手入れ 2014.12.24

タケノコといえば、春を代表する味覚の一つ。

古事記にも記述があるように、日本でも古くから食べられてきた森の恵みです。

今回はこの「タケノコ」について、LABOします。

 

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孟宗竹の竹林とタケノコ


■美味しいタケノコ「孟宗竹」

古くから日本人に親しまれてきたタケノコですが、

現在、食用として流通している大部分のものは「孟宗竹モウソウチク)」という名前の中国原産のタケノコ。

江戸時代に中国から伝来しました。

それ以前の日本で食べられていたのは、「真竹マダケ)」や「淡竹ハチク)」でしたが、

孟宗竹はそれらに比べてアクが少なく、食べやすかったこともあって、食用として広く受け入れられました。

そのせいか、現在の里山の中に残されている竹林のほとんどは、人為的にモウソウチクが植えられており、

食用のタケノコを農作物の一つとして育てていた頃の名残を伺うことができます。


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(左)節が2本あるのが「真竹」 (右)節が1本のものが「孟宗竹」

美味しいタケノコは節1本ですよー。


美味しいタケノコと言えば、千島笹(チシマザサ)のタケノコ「根曲竹ネマガリダケ)」も食用として親しまれてきました。

こちらは笹なので、地上に出てきた新芽をポキポキ手で折って収穫できます。

残念ながらこのチシマザサは東北や北海道の涼しい地域に分布する植物なので、

東山のまわりでお目にはかかれません。

こちらも春の森を代表する山菜です。


色々あるタケノコですが、それぞれの旬は種類によって少しずつずれています。

孟宗竹なら3月中旬から5月頃。

それに続き、破竹、真竹、根曲竹が5月~6月ごろまでです。


さて、このタケノコ。掘って食べるものですが、ことはそんなに単純ではありません。

竹林と上手に付き合うコツが、実は隠されているのです。



■タケノコと竹林

竹はご存知のように、地下茎でつながっている植物です。

木と草の中間のような性質を持っているので、成長が早く、

新芽(タケノコ)を食すこともできますし、もちろんそれを作物として売ることもできます。

農耕用のカゴや箒等、様々な造作物の材料にもなることから、里に近い場所に植林されてきました。


しかし外国、特に中国産の安いタケノコが市場に出回るようになると、

次第に日本の生産農家はタケノコの栽培を止めてしまいました。

つまり竹林に人の手が入らないようになったのです。

結果、竹林の範囲で収まっていた竹の密度が限界に達し、竹が外へと溢れ出てしまいました。


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元の竹林の範囲を超えた地下茎は、芽を出すための場所を求めて、

隣にあった雑木林の中にまで地下茎がどんどん伸びていき、

いつの間にか、雑木林全体に竹が繁茂するような状態になってしまいました。


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雑木林を覆い尽くした竹林(多摩ニュータウン東山の「はぐくみの森」2010年9月撮影)


こうなると森の中に生えている草木には十分な日照が届かなくなり、

さらには竹が密集したことで風通しも悪くなり、徐々に枯れていきます。

東山の保全緑地でも、こういった状況が多く見られたため、

まちを新しくつくるにあたり、この竹を皆伐していました。


しかし一度竹の上部を切ればそれで芽が出ないかというと、そんなことはありません。

次の春に出た新芽を継続的に抜いていくこと、つまりタケノコを取っていくことが必要なのです。

反対に皆伐した状態で、タケノコを成長させずにいた場合、タケノコ掘りはやがてできなくなります。

竹の新芽(タケノコ)を毎春の楽しみとしたいなら、竹林を管理しながら残していかなくてはなりません。



■森の恵みを享受するために

森の恵みである「タケノコ」を、毎年の春の楽しみとして残すためには、

まずそのための竹林を育てていく必要があります。

竹林が広がらないように、間引きして竹林の中の密度を調整し、新しい芽が生えるスペースを確保します。

よりタケノコの収穫を増やしたいのであれば、12月~1月頃に竹林内に穴を掘って肥料を施します。


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タケノコ生産農家さんの畑でのタケノコ掘りの様子(東京近郊)
土はふかふかで、適度な間隔で竹が生えているため、翌年も竹林の範囲内の良い場所を選んで新芽が出てきます。



間伐も、ただ竹を切ればよいというものではありません。

立ち枯れや幹が黄色くなった古いものを優先的に間伐し、なるべく若い竹を残していきます。

そうすると春には間伐した跡に新芽(タケノコ)が出てきて、竹林が健全に更新されていくのです。

もちろんこんな風に手がかけられる範囲は限られており、それ以外の場所では竹を増やさないように

生えている竹は全て伐採し、積極的にタケノコを掘ってしまいましょう。


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かすかに先端が出てきたタケノコを、足の裏の感覚を便りに探します。

タケノコ掘りはまさに宝探しの要素を持った、春の森のアクティビティなのです。



■森の恵み「タケノコ」を食す

掘りたてのタケノコには、アクが少ないので、アク抜きも必要ありません。

なので手間をなるべく減らすためにも、採ったその日に食べてしまいましょう。

皮はタケノコの実を柔らかく保つ成分を持っているので、煮るにしても、焼くにしても、

最初は「皮ごと!」が原則です。


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もし大量に収穫したものを保存したい場合は、アク抜きした煮汁につけて保存することができます。


タケノコのアク抜きで代表的なものが、米ぬかを入れて煮るというもの。

米ぬかの代わりに、コメのとぎ汁や生米そのものを一緒に煮るという方法もあります。

ようは加熱することでタケノコのえぐみ成分である「ホモゲンチジン酸」と「シュウ酸」の増加を止め、

水に溶けやすい性質の2つの主成分をタケノコから取り除き、

さらにデンプンでタケノコの表面をコーティングすることで、食した時に水溶性のえぐみを感じにくする等、

時間のたったタケノコでも美味しくいただけるという先人の知恵です。


孟宗竹の原産国・中国では、タケノコのあく抜きは行わず、細かく刻んだり、油や卵と一緒に炒めて、

タケノコの表面をコーティングして、より美味しくいただいているようです。

こちらも中華料理ならではの知恵ですね。


春の恵みを食す「タケノコ編」。

もしあなたの家の近くに孟宗竹の竹林があったなら、「ラッキー★」ということで、

タケノコ掘りができるか聞いてみましょう。

公園であれば、そこの管理を行っている団体が主宰して、

管理活動の一環でタケノコ掘り等のイベントがあるかもしれません。


恵みを享受するためには、タケノコ掘り以外の活動も必要ですが、

まずはその入口として、「春の森の宝探し」を、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。


ただ竹林を眺めるだけでなく、一歩その中に踏み込むことで、

見えてくる世界がもっともっと広がっていくはずです。


[タケノコの食べ方に関する詳しい情報]

NHK あさイチ スゴ技Q「今日から、たけのこの達人」(2012年4月10日放送)

http://www.nhk.or.jp/asaichi/2012/04/10/01.html



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