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森の香り

森+LABO 2017.04. 6

こんにちは、森+LABOです。
皆さんは森を歩いている時に、「森の香り」とでも言うべきすがすがしい香りを
澄んだ空気の中に感じたことはありませんか?

今回は、この「森の香り・フィトンチッド」が人の体に及ぼす影響についてLABOします。

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2014年2月3日の日本経済新聞(夕刊)にこんな記事が載っていました。

「森の香り成分、血中に」

記事によると
旭川医大の中村正雄名誉教授らの研究チームが、
森の中を歩くと「フィトンチッド」と呼ばれる森の香り成分が血中に取り込まれることを突き止めた。

フィトンチッドはマツなどの樹木が放出する揮発性化学物質の総称。
アロマテラピーの精油に含まれることが多く、血圧低下や免疫力を高める効果も報告されている。

森林浴の効果を計測するために、今までも脳波や血圧を計測することはありましたが、
今回の実験では、実際に1時間、森を歩いた被験者の血液の成分を分析し、
その中に含まれている「フィトンチッド」の成分のうち数種類の濃度が濃くなっていた、というもの。

この実験結果を受けて、中村名誉教授は
フィトンチッドは肺で吸収された後、血液中で濃縮されているのではないか。
森を歩くと気分が良くなる理由を知る手掛かりになる」とコメントしています。

フィトンチッドについてもう少し詳しく調べてみると、その語源はロシアにありました。
フィトンチッドとは、ロシア語の「フィトン(植物)」、「チッド(他の生物を殺す能力を有する)」を組み合わせた造語で、
「植物からでる揮発成分は殺菌作用がある」と言うような意味になります。

植物は自らの生命を維持するため、また自らの成長を促すために、フィトンチッドを幹や葉から大気中に放出しています。
植物は動くことができないので、フィトンチッドの放出によって身を守っているのです。
このことを1930年頃に発見したのが、発生学の研究者で、
当時旧ソ連のモスクワ動物園実験生物研究所に在職していた B.P.トーキン博士です。
彼によって「フィトンチッド」という言葉が生まれたんですね。

なおフィトンチッドが含まれるのはマツなどの針葉樹だけではありません。
広葉樹でもクスノキやシキミなどのように多く含まれている樹種があります。
部位でいうと幹よりも葉に多く、季節では春から夏にかけての生成が多くなるという実験結果もあります。

地球上の全植物から放出されるフィトンチッドの量は約1億5千トンにもなり、
全世界で排出される排煙や排気ガス等の6倍にも達すると言われています。

つまりまちの中に緑がもっと増えたら、都市を覆う空気の質ももっと森の中のすがすがしい空気に
近づくと言えそうです。


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ひと雨ごとに秋が深まり、色づく葉の色もますます深みを増してきています。
秋はそんな色づく景色を見るために、1年の中でも特に森へ出かける機会の多い季節です。

こんど森の中を歩く時には、ぜひ「フィトンチッド」をたくさん肺に取り込む気持ちで
大きな深呼吸をたくさんしてみてください。
血液中のフィトンチッドの濃度が上がると、体の免疫力も高まり、
寒い冬を健康で乗り切るための力になるはず!です。

毒キノコにご用心

森+LABO 2017.04. 6

秋の味覚の代名詞といえば「きのこ」。

今回はそんなきのこの中でも、秋の森の散策時に気をつけたい毒キノコをLABOします。

 

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森の中のベニテングダケ。代表的な毒キノコですので間違って食べないようにご注意を。 

 

 

きのこには栄養素のほかに特殊な成分も含まれ、中には他の生物にとって有害なものがあります。

そういう成分を持つキノコは「毒キノコ」と呼ばれ、特に自生するキノコが増える夏から秋にかけては注意が必要です。

キノコ毒(有害成分)による健康障害には急性の中毒と慢性又は潜行性のものがあります。

そのため毒のあるキノコkを食べて、すぐに症状が出ないからといって、毒がないと安心はできないのです。


さらにキノコ毒による障害は3つに分類されます。

ざっくり言うと、お腹を下したり、吐いたり、消化器系に障害の起こる「消化器障害型」と

幻覚や幻聴、激しい頭痛やめまいを起こす「神経障害型」、

その他に、「原形質毒性型」といって、さまざまな臓器や細胞に作用して、腹痛、おう吐、下痢から肝不全、自不全、循環器不全を引き起こす怖いものがあります。

 

内閣府の食品安全委員会や厚生労働省では、特設ページを設けて毒キノコの危険性を詳しく紹介しています。

■外部リンク

厚生労働省「毒キノコによる食中毒に注意しましょう」

食品安全委員会ホームページ「毒キノコによる食中毒にご注意ください」

 

 

森の散策で見かけそうな毒キノコをちょっと紹介しましょう。

テングダケは針葉樹林のアカマツ林やトウヒ林、広葉樹林のコナラ林、クヌギ林などで見られるキノコで、時期は夏から秋にかけて発生します。

一見するとふつうのキノコですが、毒があるので間違って口に入れないように気をつけてくださいね。

 

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そして「ツキヨダケ」。

ツキヨダケはヒラタケ、ムキタケ、シイタケと間違えて食べてしまう人が多いキノコで、ブナ、イタヤカエデなどのに重なり合って発生します。

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もし食べてしまったら、食後30分~1時間程で嘔吐,下痢,腹痛などの消化器系の中毒症状が現れます。

幻覚痙攣を伴う場合もありますが、たいていは翌日から10日程度で回復します。

 

ツキヨダケは岩手県では「ドクキノコ」と呼ばれているほど、毒キノコの中でもポピュラーな存在です。

一見するとふつうのきのこですが、夜になると発光します。

そのため、秋田では「ヒカリダケ」、新潟では「ヒカリゴケ」とも呼ばれています。

 夜の森の中で発光する姿は幻想的でもありますが、見るだけにしておきましょうね。

 

 

秋は森の散策に持ってこいの季節です。

これから本格化する紅葉を愛でつつ、森の中にある少し危険な存在にも目を向けて、また違った発見をしてみてはいかがでしょうか。

雨の季節

森+LABO 2017.04. 6

雨の季節を代表する植物といえば、あじさい。

青や紫、時に白やピンクの花をつけて、森や公園の中だけでなく、庭木としても人気の花です。

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今回はこのあじさいについてLABOします。


*
さてアジサイというと、大きな丸い花を思いうかべる人も多いでしょう。
でも実はアジサイの花と思われているのは花ではなく、「萼(がく)」が大きく発達したもので「装飾花」と呼ばれる部位です。
アジサイの仲間の花は、その他に「両性花」という、めしべとおしべが両方ある小さな花を持っていて、
装飾花だけ、または装飾花に隠れて両性花が見えないものを「アジサイ」と呼び、
「装飾花」と「両性花」の両方が見える種類を「ガクアジサイ」と呼んで分類します。

アジサイは元から日本にあった植物ですが、江戸時代にシーボルトによってヨーロッパへ渡り、
「ハイドランジア(西洋アジサイ)として逆輸入されました。
日本に自生するアジサイはアジサイ、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、タマアジサイ、ノリウツギなど約14種類もあるんです。

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アジサイの大きな特徴は、花の色が土壌酸度によって変化することです。。
植わっている土壌の酸性度(pH)によって花の色が変わり、
一般的に「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になると言われています。

もう少し詳しく言うと、土壌が酸性の場合、アルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、
アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合して青色になります。
日本は火山国で、雨も多い国土のため、基本的に土壌は弱酸性なので、青いアジサイが一般的です。


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土壌が中性やアルカリ性であればアルミニウムは溶け出さないので、花は赤色となります。
なのでもし花を青色にしたいのであれば、酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを与えれば青い花が咲くでしょう。

さらにアジサイは同じ株でも部分によって花の色が違ったりして、それがまた魅力を増す要因にもなっているのですが、
これは根から送られてくるアルミニウムの量に差があるため。

花の色は花(萼)1グラムあたりに含まれるアルミニウムの量がおよそ40マイクログラム以上の場合に青色になる言われています。
もちろん遺伝子的な要因で花が青色にならない品種もあるので、アジサイの全てが青色になるわけではなりません。

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さらに花色は開花から日が経つほど大きく変化していきます。

最初は花に含まれている葉緑素のため薄い黄緑色をしていますが、
それが分解されていくとともにアントシアニンや補助色素が生合成され、赤や青に色づいていきます。

さらに日が経つと有機酸が蓄積されて、青色の花も赤味を帯び、最終的には緑に戻ります。
このように、刻々と色が変化するところが、あじさいの大きな魅力のひとつですよね。


梅雨はまだこれからが本番。
雨の季節を彩る花を探して、森を散歩するのも楽しそうです。

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