森の眠り

森のある暮らしのすすめ 2013.04. 8

「冬至」は一年のうちで最も太陽の高度が下がり、昼が最も短くなる日です。

つまりこの日以降は、日の長さが徐々に長くなっていきます。

そのため、この日を境にして太陽が蘇るという信仰は古くから世界各地にあり、

それを祝うための祭りや習慣が、今でも各地に伝わっています。。

一年の無病息災を願った様々な風習。

日本でいうと、魔除けの色「かぼちゃ」や魔を祓うとされている「小豆」を食したり、

また、その香りで厄を祓う「ゆず湯」に入るもの等が代表的ですね。 

 

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「ゆず湯」に入る習慣は、「冬至」と「湯治」をかけたもの。

なんだか言葉遊びのような、験担ぎの風習が、日本には特に多いように感じます。

 

クリスマスケーキの定番、ブッシュドノエルも、

北欧にある「樫の薪を燃やすと一年間無病息災ですごせる。」という言い伝えからきています。

冬至を境として、太陽が蘇ることをお祝いしていた風習がクリスマスにつながり、

クリスマス時期のお菓子には、火を起こす「薪」をイメージしたものが多いのかもしれません。

 

121219_002.jpgドイツのお菓子、シュトーレンもなんとなく薪っぽいですよね。 

 

 

眠る木々たち

 

さて、冬至が過ぎたとはいえ、冬はまだまだこれから。

寒さの厳しい冬になると、葉を落とした植物は休眠期間に入ります。

 

休眠とは、葉を落とし、活動を止めることで、少ないエネルギーで冬を生き延びようとする、植物の進化の形です。

休眠している植物は、移植や剪定などを行っても、それほど大きなダメージを受けません。

人間を含め、動物に例えると、麻酔をして手術を行っているようなものです。

休眠は主に12月から3月上旬頃までをさしますが、

樹種によって(モミジ等のカエデ類)は根が活動する時期が早いものもあります。

 

冬枯れの木立の、その枝先をよくよく見てみると、枝には小さな芽が付いています。

花が咲くものを花芽、葉を出すものを葉芽、両方を出すものを混芽と言います。

 

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ガマズミの葉芽

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カクレミノの葉芽

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サザンカの花芽

 

この小さな芽は、秋頃までに作られ、ある一定の寒さに晒された後に目覚めます。

これを「休眠打破」といいます。

寒さに晒される期間が短いと、春になって芽吹いたり、開花したりする時期が遅れるという研究結果もあり、

植物にとって厳しい冬の寒さも、春の芽吹きのために必要不可欠なものなんですね。

 

冬枯れの森を歩くと、葉を落とした木々の姿にもの寂しさを感じますが、

木々の生命は途切れたわけではなく、

眠りながら、静かに、春を待っているのです。

 

冬至は、(北半球では)日の長さが一番短い日。

中国の易では「一陽来復(いちよう・らいふく)」、「陰の気が回って、陽の気に帰る」ことから、

悪いことが続いたあとで、幸運に向かうことを表す言葉でもあります。

 

春を待つ冬芽とともに、明るい陽がさすような、幸運な一年を迎えたいものです。

皆様、良いお年を。

 

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