『森+LABO』の最近の記事
融ける森
冷たい空気の中にも微かなぬくもりを感じる今日この頃。
日中の気温も少しずつ上がり、森の中に降り積もった雪や氷も融けています。
そんな春先の風景の中、木の根元の雪だけが先に融けているのを見て
不思議に思ったことはないでしょうか?
樹木は寒さの厳しい時期には休眠期といって葉を落とし、
生きるために必要なエネルギーを最小限に抑えていますが、死んでいるわけではありません。
静かに生きて代謝を行っています。
ただこの微かな代謝では幹のまわりの雪を融かすまでには至りません。
雪解けの頃の樹木は芽吹きの季節に向かって活動を開始しています。
その活動の際に発する熱が幹のまわりの雪を融かし、
残雪の中でも木のまわりだけ丸い穴があいたようになります。
つまり雪にあいた丸い穴は、木が春の芽吹きの季節に向かって動きだしていることの証なのです。
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長かった冬ももうすぐ終わり。
芽吹きの季節はもうすぐそこです。
凍る森
冬の深まり、寒さが増した森の中でも、いろんなものが凍っています。
でもその凍り方は同じではありません。
今回は森の中で見られるさまざまな「氷」についてLABOします。
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森の下の方で葉っぱや草が凍っています。
これは「霜」と呼ばれる現象です。
霜(しも)とは、地表部の温度が0度になると、地表部にある空気中の水分が凍る現象のこと。
そのため地表部に多くの空気を含む畑等で霜柱をよく目にします。
ちなみに枯れていない植物は0度で凍ることはないため、
凍っている葉や草はみんな枯れていると言えます。
凍っている葉や草はみんな枯れていると言えます。
春を待つ、田んぼの上にも氷がはっています。
氷を割ってみると、氷の下には水があります。
どうして全部が凍っていないのか、不思議に感じたことはありませんか?
水が凍る温度はマイナス0度。でも水の重さが一番重くなるのは4度なので、
凍らない温度の水がいつも底の方へと溜まっていきます。
冬になるとわかさぎ釣りなどで、池にはった氷に穴をあけて魚釣りを楽しんだりしますが、
水の持つ不思議な性質、凍る時の温度より比重が重くなる温度が高いために、
池の中の水が全て凍ることなく、生き物が生き続けることができるのです。
最後は「雨氷(うひょう)」と呼ばれる現象です。
ふつう水は0度を下回ると凍結(凝固)し、氷になります。
しかし雲や霧のように雨粒が小さいとマイナス20度まで、
雨粒だとマイナス4度くらいまで凍ることはありません。
これは水の分子が非常に安定している時に起こるもので、過冷却状態と言います。
このような性質から、雨は降っている時に0度になっても凍ることがありません。
しかし雨粒が過冷却状態の時、0度以下に冷えた物体にぶつかるとその衝撃で凍ります。
雨氷はさまざまな条件がそろって初めてみられる現象だと言えるでしょう。
寒い季節は外に出るのもおっくうになりがちですが、
さまざまな氷の姿を見つけに散歩に出てみるのも、寒い時期ならでは楽しみではないでしょうか。
森森ウォークラリー
久しぶりの森+LABOイベントを、12月13日(日)に開催しました。
今回はそのイベントの様子をレポートします。
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森+LABO 冬のイベントは「森森(もりもり)ウォークラリー」。
東山住宅地のまちや森の中を歩きながら、12本の木の名前を当てていくクイズ形式のイベントです。
当日は冬ながらも日差しは温かく、風も穏やかなイベント日和。
午前・午後の部とも天気に恵まれ、のんびりと屋外のイベントを楽しみました。
午前9時50分、午前の部のウォークラリー開始。
クラブハウスからもりみの公園横を抜け、沖ノ谷戸公園の森4区側入り口へ向かいます。
クラブハウスからもりみの公園横を抜け、沖ノ谷戸公園の森4区側入り口へ向かいます。
途中に植樹されている木々について、坂場先生が特徴などを丁寧に説明してくれます。
ここで説明された内容が、後に行われる木の名前当てクイズのヒントにもなっていました。
ここで説明された内容が、後に行われる木の名前当てクイズのヒントにもなっていました。
12本の木には3つのヒントと、種や花などが合わせて表示されているので、
みんなはそれも手がかりに木の名前を探していきます。
写真は午後の部に参加してくれた子供たち。
大人顔負けの真剣さで、坂場さんのお話をメモしたり、木の幹や実に触れたり、
ヒントを元に真剣に考えたりしながら回答用紙に答えを書いていました。
ウォークラリーは沖ノ谷戸公園をゆっくり周遊し、愛宕神社前へ。
愛宕神社すぐ横にある木もクイズの対象です。葉を揉むと良い香りがします。
みなさん、実際に葉を触り、においを確認していました。
この木は長寿で、樹皮は防虫剤の原料になるとのこと。昔はきっとこの木の葉を使っていたのでしょう。
みなさん、実際に葉を触り、においを確認していました。
この木は長寿で、樹皮は防虫剤の原料になるとのこと。昔はきっとこの木の葉を使っていたのでしょう。
葉っぱの裏を見たり、落ちている種を拾ったり、みんな真剣に名前を当てていきました。
その他に解答用紙にも3つのヒントが書いてあるので、それも参考に名前を当てていきます。
たとえば11番のヒントは
・ツバキの仲間で、若い葉をつんで飲み物にします。
・奈良時代に中国から薬として入ってきました。
さてこの木のなまえはなんでしょう?
静岡とか宇治などが産地として有名な植物です。
さてクイズも終わり、東山クラブハウスに戻ってドングリの試食会を行いました。
ドングリにはタンニンという渋みを含む成分が多く含まれているため、そのままで食すには向いていません。
しかしタンニンが少ないドングリがあります。
それが「マテバシイ」と、東山のシンボル「スダジイ」です。
この2つのドングリには渋みが少ないため、軽くあぶるだけで美味しく食べることができます。
今回は試食のために、クラブハウス外にあるかまどでドングリを炒ってみました。
いぶしたどんぐりはクラブハウスの中で試食。
どんぐりを食べるなんてそうそう経験がないものですが、
食べると栗に似てホクホクした食感で、ちょっと塩をふって食べても美味です。
最後はドングリを試食しながら、木の名前当てクイズの答え合わせ。
今回のクイズはなかなか難しいと思っていましたが、
なんと午前の部は4組、午後の部は参加者全員が全問正解という驚きの結果になりました。
さすが東山住宅地に住んでいるだけあって、みなさん自然への関心や理解が深いようです。
ウォークラリーは午前・午後の部とも時間をオーバーするほどの盛況ぶりでした。
また季節を変えて実施してみたいものです。
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いつも何気なく見ている木の葉っぱの形や色、枝や幹の色や模様をじっくり観察してみると
森の中に色んな種類の木があることに気が付きます。
植物の名前はなかなか1回で覚えることは難しいものですが、
何度も何度も見て聞いてを繰り返しながら、少しずつ名前を覚えてみましょう。
きっといつもの散歩道や学校や会社への行きかえりの道も、もっと違った楽しみを発見することができますよ。